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2009.09.21  Industrial Fair

産業フェア

ハコアがある福井県の丹南地区は、多種多様な工芸と産業が数多く集積する世界的にも珍しい地域。「さばえ」と云えば、「めがね」と返されるように、眼鏡フレームは全国的にも有名。他の産業では繊維が技術力、商品開発力は世界をリードしている。その他にも電子機器部品や自動車部品の工業製品や食品等、技術力も世界に誇れる程高く、世界を相手にビジネスを行っている企業が多い。伝統工芸品では漆器、和紙、陶器、打刃物と密かに全国トップクラスの工芸品集積地だ。スゴく離れている訳では無く、隣の家が眼鏡工場でその隣が漆器職人さんの家で、その隣が繊維工場であったり、隣町が和紙産地であったりと、驚く程に集積している。その丹南地区で毎年1回行われるのが産業フェア。ローカルなイベントだが、1年間の技術、研究、商品開発の発表の場となっている。

キデキルMT展示風景

そのフェアで3年前から行われているのが、丹南クラフトコンペンション。ローカルだが、世界トップクラスの技術力を持った企業が、一流のデザイナーとタイアップした製品や独自の技術力と企画力にて1年間の商品開発の成果物を出してくるのだから、非常にレベルは高い。ハコアも毎年のように出品し、受賞を頂いている。今回は「Ki-de-kiru/マスキングテープカッター」が受賞を頂いた。テープカッターと云えば、金物の刃物が付いている当然の概念を捨て、全てを木で完結した。刃物部分の「ギザギザ」を削って成形し、刃物一体型のデザイン。野球のバット等に使われる、堅めのメープル材を選定し、刃先に含浸性の塗料を染み込ませ、刃先の強化を行っている。この塗料も塗り産地と呼ばれるこの地域から生まれた優れモノ。テープを切るのに、何も樹脂で無くても、金物で無くてもというのが発想の原点。廃棄を考えれば、環境負荷な素材であり、子供が使っても手を傷付ける程鋭角では無く、安心、安全だ。カタチはテープをセットすると「かたつむり」のように愛嬌のある微笑ましいデザインに仕上がった事が評価された。

眼鏡表彰式

クラフトコンペンションの他にも、越前漆器展覧会が行われる。産地の技術力ある伝統工芸士さんも含め、1年間を掛け、製作した技術と知恵の競演となるイベント。賞金が出る事と、知事賞というトップ賞を受賞すると、ご近所、仲間からお祝いが来て、祝賀会を行う程にレベルも高く、業界では格式ある展覧会となる。今年の展覧会知事賞には、私の友人である中野知昭が受賞した。34歳の若さで受賞し、最年少記録となった。中野氏にはハコアの漆USBやロブジェの商品の塗りをお願いしているだけにハコアとしても嬉しい受賞となった。ハコアの創設者である山口怜示会長が製作した、「酒器セット」も金賞を受賞した。片手で持ち易く、注ぐ際に裏漏れしない形状を思案し、技術を駆使したカタチに仕上げた。仕上げの塗りも品格高く、味のある漆塗りである事が評価されたようだ。現在はご自分で晩酌に使い、満面の笑みを浮かべている逸品である。

越前漆器・展覧会酒器セット

毎年、私達は一つの節目としてこのイベントに向き合っている。時代も代わり、大不況も訪れ、世の中が簡素な美学の雰囲気がある中、職人や技術者、企画者の人たちの成果や意見交流を肌身で感じる機会がある事はホッと息つく。勉強になるし、活気湧くカンフル剤である。このようなフェアは全国各地で行われているが、何処の地域も縮小や中止となっている。厳しい社会情勢の中、年々行政運営も厳しくなり、行政の方々の苦労には頭が上がらない。心力尽くして頂ける事にお応えできるブランド展開を行い、1日も早く恩返しが出来ればと思う。

丹南産業フェアサンドーム