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2009.11.16  Residenz-Einsaulensaal

ミュンヘンの夜明けは遅い。朝8時になっても薄暗い状態だ。私達は早朝7時から展示会場へ準備に向かった。私達に用意してくれた部屋は、Einsaulelensaal (1本の柱の部屋)というレジデンスの1室。名前通り、部屋の中心には大きな丸柱が象徴的に立っている。この1本の柱が天井を支えているのだという。現在の常識では考えられない程に構造計算されている部屋だ。

王宮遺産である建物の中で展示会を行うのは、日本では初めての事らしい。とても光栄な事。実現できたのは、世界的に最も権威のあるデザイン賞の一つ。 ドイツ ・ ハノーファー を拠点とする、 デザイン 振興のための国際的な組織 インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー(iF)の審査委員長を務めるフリッツ・フレンクラー氏の配慮。フレンクラー教授はミュンヘン工科大の教授で、この搬入作業に生徒さんを誘ってお手伝いに来て頂けた。朝早く会場入りすると、フレンクラー氏がすでに会場で待っていた。相変わらずデカイ。8ヶ月ぶりの再会で握手をしたが、力加減が無いから非常に手が痛い。お手伝いの生徒さんも体がデカく、搬入の際は大助かりだった。体がデカイだけにパワフル。私達日本人が5人掛かりで持つ品も2人で冷ややかな顔で運んでいるのには参った。国内外併せて、12回を越える展示。毎回、花器のベースにお手伝いして頂いた方々の名前を書き込むのが恒例となった。その書き込みを行う事で繋がりも深く、笑顔の耐えないひとときとなる。

インダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファーインダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファーインダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファーインダストリー・フォーラム・デザイン・ハノーファー

フレンクラー氏のデザインした漆製品の展示がメインだが、今回もフラワーデザイン・W杯チャンピオンの村松文彦氏の摩天楼が会期に華を添える。毎回、積み上げる高さは4段程度(約3M程度)だったが、今回の展示会場の天井も高く、地震の心配も無い事から、慎重な相談し、もう1段の挑戦を行う事にした。総高さで約5Mになる。見上げる高さに華が添えられる期待感にワクワクした。

漆製品の展示漆製品の展示

相変わらず、村松文彦氏のアレンジは早い。出来上がりが頭の中で出来ているだけに段取りも良く、手際が良い。ハコアのスタッフにも良く云う。自分の仕事を観られて、「あの人は手が早い」と云われるのと「あの人は手際が良いわ」と云われるのでは、180°の評価だ。「手際が良い」と云われる職人は必ず段取りが出来ている。先が見えているから闇雲な動きでは無い事が素人でも判る。自分が何に向かって動き出しているのか?オーラを感じる訳だ。オーラを出していないと必ず「ダラダラ」に見えてしまう。誤魔化しは出来ないのである。一流のオーラは一流の人にしか判らないモノでは無い。素人でも掴めるし、虜にしてしまう。偶に、空気の読めない人は茶化すような態度を取る。それは、行儀がなっていないだけに寂しい人だと思う。村松さんはアレンジ中にも回りに気を遣う。自分の事に精一杯の筈だと思うのだが、精一杯、周りを飽きさせない話術と気の使い方には本当に尊敬してしまう。皆さんも一度、村松さん講演やアレンジ教室を受けてみると楽しい気分になれますよ。 http://www.muramatsu.ne.jp/

村松文彦氏 フラワーデザイン

展示準備も中頃(夕方)になると、フレンクラー教授の教え子さん達がどっと押し寄せてきた。話を聞くと皆さんデザインを専攻しているそうだ。私も懐かしい雰囲気に溶け込もうと参列したが、教授の説明がドイツ語で全く判らない。英語で彼らに質問すると、普通に英語で応えてくれた。見た目は日本人の30歳くらいに見える。しかし、日本の大学生のように幼く、おとなしい。そのギャップがチョッと不自然に感じる。僕達の方言で大人しく、人見知りして、感情を前に出してこない事を集約して、「おぼこい」という。彼らにそれを教えるとスゴく、反応し、積極的に質問してきた。「漆」を見るのも触るのも初めてらしい。奥深さのある美しさに本当に自然塗料なのか?と聞く。

フレンクラー教授の教え子さん達 フレンクラー教授の教え子さん達

夕飯を食べて、ようやく、準備の半分。確実に深夜まで続く事を確信した。私達の一服出来る休憩所は展示室のお隣の部屋。白壁に白熱球の照明が温かく照らしてくれる。白壁の中にポツリと感じる木のドアが安らぎを感じる。天井が高く、心地よい。絶妙な空間づくりに疲れが消え行く。もうひとつの安らぎの場がトイレだった。別にトイレに座ってって訳では無いが、トイレ便器の形状と空間づくりがとても気に入った。なぜか、見てるだけで落ち着いた。

明日はレセプションパーティー。明日は楽しめる事を期待して、作業は深夜まで続いた・・・・・。