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2009.12.05  Munster

ミュンヘンからICE(高速列車)に乗って5時間。ESSEN(エッセン)からローカル線で1時間半。北にあるミュンスターに向かった。トーマスが生まれたのもこのドイツ。この国の人達は鉄道へ熱い想いがあるのだろう。ICEは非常に乗り心地も良く、ゆったりしている。冬空の暗い風景が、欧州情緒を演出する。途中ケルンの大聖堂の下も通り、見応えもあり、5時間の長旅があっという間だった。

ICE(高速列車)鉄道

ミュンスターに着けば、予想を超えた田舎街だった。この街は学生街らしく、若い人達が多くいて、非常にこじんまりした落ち着いた街だ。この地のミュンスター大学には3万9千人〜5万人の学生が就学しているそうだ。単位がひと桁違っているのだは無いかと耳を疑ったが、本当らしい。大学がひとつの街を形成している、ドイツ1の超マンモス校だ。どうしてここへ来たのかと言えば、先月のレジデンツのレセプションパーティーの際にある老人と出逢った。その人はヨーロッパで唯一の漆博物館の館長だという。「ヨーロッパ唯一」のひと言に興味が湧いた事もひとつの理由だが、この遠路まで来たのは、この博物館に貯蔵される日本が無くした「本物の漆製品」があるからだ。

ミュンスターミュンスター

18世紀後半にフランス国王ルイ16世の王妃・マリー・アントワネットが集めた装飾品の中に沢山の漆製品がある。贅を尽くし集められた装飾品はフランス革命にて王室が滅び、装飾品は欧州全土へ散らばった。その中の漆製品をこの博物館のオーナーが買い集めているそうだ。江戸時代に将軍の命令にて手間を惜しまず作られた製品は、日本には無い国宝級の品。日本だと国立博物館に永久保存される程の価値ある品が数えきれない程あるという。

博物館博物館

博物館といっても、個人の家のような小さな建物だった。入ってみると、世界の漆製品が集められていた。日本以外にも、中国、韓国、ベトナム等の漆を使った製品が多数展示されている。展示表記も徹底しており、日本で漆を紹介している施設の表記よりも洗練されていた。残念ながら撮影はさせて頂けなかった。マリーアントワネットコレクションは企画展の時にしか展示されず、地下貯蔵庫に眠っているそうだ。その中の一部を見せて頂いたが、見事な製品であった。蒔絵の美しさは驚きと感動であった。水墨画のような奥行き感と透明感を蒔絵でも表現できるのかと、見惚れた。私も含め、現代の職人では絶対に製作不可能。技法も感性も現代には既に伝わっていない事を感じた瞬間だ。数個の漆製品を4時間も見つめた。今でもその時の感動と絵柄の繊細さをハッキリと覚えている。至福の時間を経験した。

ミュンヘンの街並みミュンヘンの街並み

博物館を出るとすっかり夜になっていた。駅前のメイン通りにある博物館前の道ををぞろぞろと大勢の人達が列を成して歩いていた。何があるのだろうと、付いて行けば、平和の広間が直ぐ隣にあった。クリスマスシーズン真っ只中の通りはおとぎの国だった。ライトアップされた切り妻ノッポの建物が通りに並び、大勢の人が通りを埋め尽くしていた。ミュンヘンに負けない程の光の街。沢山の屋台が出ていて、その中には職人さん達が沢山出展している一角があり、楽しくて仕方の無いショッピングを満喫した。お腹が空いたからレストランを探すが、とにかく人で溢れていて、予約無しでは入れない。仕方ないので、近くのショッピングセンターの最上階にあるファーストフード店で情緒も無く、夕食を食べた。夕食の後は、再度街を散策し、その場で実演し、名入れしてくれる革製品の職人さんのお店で話が弾み、30ユーロの財布を購入したが、イマイチ使いづらい・・・。ノリで買ってしまった事に少し後悔した。

通りの奥には、聖ランベルティ教会。14世紀に建てられた古い建物だが、かなり不気味な雰囲気を漂わす教会だ。後で調べてみれば、塔の先に三つの鉄かごが吊られていて、、そのカゴには16世紀の半ばに洗礼派扇動者三人の遺体が入れられていたみたいです。この教会の塔にはなんと今でも塔の番人がいて、毎晩角笛 を吹いているそうで、その笛がまた不気味だった・・・。中に入っても不気味な程の静寂さがあり、今、思えばやっぱりッ・・・て感じでした。懺悔の箱があったが、とてもじゃないが入る気にはなれないです。