2000年 はじまりはべニヤ板一枚のお店から

デザインを学び、商品を生み出す力を身に付け、東京での営業成果も出て来た頃に自分で自分の商品を売ってみようと考えました。人生初の直売は地元のフリーマーケットで、ベニヤ板一枚のテーブル上に数点の商品を並べたお店でした。自分で作った商品を一人のお客さんに説明し、直接買って戴くのは初めての事でした。

最初は緊張し、商品の意図をお客さんに伝えられず、お客さんの意見を聞くだけの店主でした。お客さんが商品を見て、どう感じるのか。高いのか安いのか。お客さんからの「こんな商品が欲しい、こんな商品なら売れるよ」との声に、自分に自信が無いこともあり素直に耳を傾けていました。
お釣りも用意していなかったので値切られた事もあったけれど、お釣りはいいからって余分に払う人もいて、なんだか物乞いっぽくて恥ずかしさもありましたが、今思えばそれはそれで凄い事でした。

初めてのお店を開き、2日間の売り上げは僅か2万8千円余り。しかしお客さんに直接販売する事の喜びと様々な気付きがあり、次の年への挑戦に向けての新たなスタートラインに立った気分でした。

2000年 はじまりはべニヤ板一枚のお店から

2年目からは、話好きで愛想の良い妻にも手伝って貰い、夫婦での“お店屋さんごっこ”が始まりました。二人で車に商品と机、棚を積み込み、朝早くに会場へ出向く毎日でした。
3年目となる頃には、全国のフリーマーケット会場を探して、出店者同士の情報を元に夫婦で全国を行脚していました。フリーマーケットでは、他のお店の商品やお店づくりがとても魅力的で凄く勉強させてもらいましたし、また初めての出店の頃から頂いたお客さんの声や要望をカタチにした新作商品を毎年のように並べました。

フリーマーケットへの出店は7年間続けたのですが、毎年のように「ファンなんだから」といったお得意様も増えて、2、3万円のお買い物をして頂いたうえに、更に野菜や米をお土産に頂いたりもしました。初回は3万円弱だった売り上げは、7年目には2日間で78万円もの実績を上げることが出来るようになりました。

振り返れば、お客さんと向き合い、お客さんが求める商品を作り、気持ちが伝わった販売だったからこそ、成長できたのだと思います。このお店屋さんごっこで「商品はお客さんが求めてこそ売れる商品」だという事を知り、それから現在に至るまで、お店でお客さんの声に耳を傾け、常にお客さんに喜んで貰える事はなんだろうと考える商品開発や店舗開発を続けています。

今思い返せば、夫婦でのフリーマーケットの出店が起点となってハコアの理念が形作られ、現在のスタッフに引き継がれ、今日の事業全体の礎になったのだと思います。

関連記事

TOP