2009年 社長は孤独な職業

経済はどん底。悪夢の中で歳が明け、新年の挨拶にて、今年の会社指針をスタッフ達に伝えたと同時に、社長の自分を鼓舞した。会社を守る。社員を守るという使命感しかなかった。

リーマンショックから半年を過ぎても経済は全く回復しない。世の会社は、雇用調整助成金を活用し耐えた。売上が無い中で、自社も同じく、雇調金を使い耐えた。会社に出て来て仕事をしたい社員を休ませると、「社長は雇調金で儲けている」と非難された。君達の給料が全額補償される訳では無いのだから、儲かるはずが無い。君達を休ませても満額の給料を払っていれば、会社は負担が大きくなっているのだが。

無礼な奴だと思いながらも世の中を知らない若者と言い合い、闘っても仕方が無いなと、黙っていた。平々凡々の世の中で、外的要因によって自身の欲望が制限される時にはこのような摩擦が起きる。

社長は政治家と同じだ。良い時には持ち上げるが、悪くなると世論が高まり、非難される。社長は孤独だ。

2009年 社長は孤独な職業

このような内部紛争も起きる中でも、先行く資金繰りを考えなくてはいけない。社屋を建てた月額返済は始まっている。メインバンクに通い、事業計画の見直し、改善書を提出し、頭を下げ、契約の見直しをお願いした。

メインバンクには了承して貰えたが、サブ銀行からは、運転資金として得た短期融資は返すように言われた。サブ銀行の支店長室で、返済を待って貰いたいが為に夢を語り、デザインの素晴らしさを語った。話を聞き終わった支店長からは「社長、私は君の夢もデザインも分からない。数字を持って来なさい」と一言。「数字作りますので、何とかお願いします」と、深々と頭を下げてお願いした。

それからは、事業計画書を書き上げ、返済計画も記した上で提出したが、僅かな猶予が与えられただけで、結局は違う銀行に頭を下げ、借りるしか無かった。世間の厳しさを身に染みる程に味わいながらも難局を乗り越える為に何が必要なのかを知り、強さを身に付けたように思う。


会社の使命は、利益を出す事。利益を出し、納税する事。社員の生活を守る為に利益を出す事。その為には、社長の責任で、独りで判断し、答えを出さなくてはいけないものです。その使命を担いでいる社長は孤独です。契約したからにはその責任は全うし、泣き言も言わずに果たさなくてはいけない。それが社会の仕組みであり、ルールです。

自分の為や想い、夢だけでは社長はやっていけない。守るべきものと果たすべき責任があっての社長でなければ、ならない。中小企業の社長さんならば、分かっていただけるであろう辛さがあるのです。

今、ハコアさんのようになりたい、会社を辞めて独立しようかと相談に来る人も多いが、何の為に独立するか会社を運営するかの自覚が無い限りは社長になるべきでは無いと思います。これもハコア塾・起業編でお話出来ればと思います。

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