2010年 ハコアダイレクトストアのオープン

2010年12月5日。待望の第一号店がオープン。私達に取っては、未来に向けて夢と希望をいっぱいに詰め込み船出するかのような想いで迎えた。

山手線の高架下が白く演出され、箱型のプレハブ造りの建物が点々としている。箱づくりが起点であるハコアの職人のお店にはピタリとイメージが嵌った。鉄道高架下の暗いイメージを払拭するような、これまでに無い斬新な商業施設だった事もあり、多くの報道陣が詰めかけ、オープンレセプションは華やかに開かれる中での船出なのだから期待が高まって仕方が無い。

出店を決めてから、お店で販売する為の商品を作り溜めて来た。沢山の商品を開発してきたつもりだったが、お店の棚に並べてみると、商品の数は意外と少なく、全く埋まらない。お店というよりはギャラリーという感じでのオープンだった。今、オープンの写真を見返すと、よくこの品数でお店を開こうと思ったなと当時の自分の無鉄砲さを思い返す。

お店のコンセプトは、「商品を見て、触って、感動してもらう」。その為にも商品を手に取り易く配置し、手触りや木目の美しさを感じて貰い、ひとつひとつが職人の手づくりなんだと判って戴く事を目指した。商品を手に取ると職人の想いが伝わる。凄い、凄い、凄いと店内に声が上がる。この驚きは、職人冥利に尽きる。

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レーザー加工機

もうひとつ、更に感動して貰う為に用意したのが、商品に名入れをするレーザー加工機。その名入れの相談を店内のカウンターにて、パソコン画面を見ながら、お客様とスタッフが対面で打ち合わせする。文字のフォントを選び、内容を確認し、イメージ図をその場で作り出す。

出来上がったイメージを見て感動して貰える。更にレーザー加工機にて文字を掘り込み、出来上がった品を手に取り、感動して戴ける。打ち合わせから名入れまでの時間は最速で10分程度。凄い、嬉しいと歓喜の声でスタッフも笑顔になる。

出来上がった商品をお渡しする際、お会計の際には、毎回のようにお客様から「ありがとう」と感謝の言葉を戴ける。「商品を購入戴き、ありがとうございます」というのは私達の方なのに、お客様がお金を支払って「ありがとう」と言って貰える事にスタッフ達は驚いた。

これまで商品販売に携って来た中で、そんな事は無かったと。笑顔を笑顔で繋ぐお店で有りたいと思った事が実現し、お客様とスタッフが喜びを共感し、築いて行くお店づくりが始まった。

この名入れサービスが、その場で即座に名入れが出来るお店として、メディアでも多く取り上げて貰い、話題になった事でオープンから連日のようにお客様が絶える事無く、店内ではお客様の喜ぶ声が多く聞かれた。最高の船出となった。


商品はただ置いてあるだけでは売れないと考えています。その商品に抜き出た商品力が無い限りは、お客様に商品の良さを知って貰う必要があります。自動販売機では無く、お客様との会話がある限りは、商品の良さ、サービス、接客と自信を持ったお店づくりだけでなく、お客様の期待を超えるお店づくりが必要でした。

お客様の「ありがとう」の言葉で販売員のスタッフは勇気にもなり、次はどのようにお客様を喜ばせる事が出来るかと考え、人が育っていきます。

笑顔が生まれるお店で有りたいという想いから始めた名入れサービスでしたが、スタッフも笑顔になる事で、商品を販売する楽しさや喜びを知り、もっともっとと意識が高まります。

自分自身がお店と共に成長するには、お客様が笑顔になる事を考える事の必要性をこの時から強く感じています。

高架下の「ものづくり」をテーマにしたアトリエショップ

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