2018年 社名をブランド名に

創業から半世紀。越前漆器の木地師として産地に貢献して来た木地師だが、伝統工芸品の衰退により、伝統の仕事が無くなりつつある中で、木地の技術だけは後世に残したいという想いがあった。技術を継承する為にも、生き残りを掛けて新しい事業に挑戦した。それが、木製雑貨ブランド「Hacoa」の誕生となった。

「Hacoa」が誕生したのは、新世紀に入る2001年の事。有限会社山口工芸の社内ベンチャー事業として始まり、ブランド名を掲げて17年の時の中で、自分の予想を超えて大きく成長し、知名度が上がった。だがその知名度が上がる事で、社名とブランドの信用、信頼性が大きく乖離する状態となっていた。

電話でアポイントをする際、電話を受けた際、山口工芸という社名を述べても通じないが、ハコアですと云い直せば伝わる。社員達も社名を言うよりは、ハコアです、と伝えた方が言い直さなくても良いので、社名を言わず、ブランド名を伝えるように変化していた。これは会社の帰属性にも関わる大きな問題でもあった。

株式会社Hacoa

ハコアが急速に成長して来た背景には、時代を捉え今の時代に合った様々な事業が生まれて来たからで、工芸という領域だけに留まらない。

この先の成長をグローバルに見据えた時に、伝え易く、分かり易い社名にする必要があった。

社員は会社に属するのでは無く、会社のビジョンに属する。Hacoaで働きたいと集まったスタッフ達は、Hacoaという名に社員の想いの全てが詰まっていて、そのHacoaが全てのビジョンであると知った時に、自分の中でひとつの区切りが生まれ、新しい未来への希望が生まれ、社名を変更する事を決断した。

年が明けた2019年の元旦に「株式会社Hacoa」として生まれ変わる事とした。


創業者の社名をブランド名に変える事は相当な覚悟と勇気のいる事でした。創業者である会長に社名を変えたいと相談をした時には「分かった、変えればいい」という潔い一言でしたが、どこか寂しそうだった姿を今でも思い出します。

私にとっても、24年もの時間を共にし、語って来た社名を自らの手で失くす事への罪悪感を少なからず感じていました。有限会社という冠は、古くから信用を重ねた証でもあり、今の時代ではもう名付ける事が出来ないのですが、新しく信用を重ねる覚悟を高める事へ気持ちは向きました。

その想いに反して、社員は「ようやくHacoaになった」と喜ぶ声が聞こえた時に、ひとつの時代が終わり、これからの未来をこのHacoaが好きで、Hacoaである事を喜ぶスタッフ達と新たなステージを築いて行くのだと、兜の緒を締め直しました。
私達の想いやビジョンが詰め込まれたブランド名の会社、「Hacoa」の未来に期待して下さい。

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