2006年 デジタルギアへ加速した出逢い

Hacoaがパソコン周辺機器分野で大きく飛躍していく中で、そうした業界を良く知り、人並みならぬ情熱を持っている方との出逢いがあった。

木ーボード展が終了し、東京での手応えを得て、次の商品開発を行っていた頃、東京のPC関連商品を扱う大手商社の方が、木ーボードを量産化出来ないかと福井にまで来られた。事務所は小屋の中で、東京の大手の方には恥ずかしい場所だったが仕方が無かった。
まずは木ーボードを量産化して、世の中の多くの人に使って欲しいとの申し出に嬉しくて感動した。「量産化が実現できるならば、量産機械の設備投資資金も出したい」。

デジタルギアへ加速した出逢い

彼は本気だった。その後の打ち合わせでも色々なアイデアを戴き、新しい挑戦への情熱を感じた。歳は私より若かったが、世界のメーカーとの代理店契約を重ね、日本市場を大きく動かしている事もあり、知見や情報量の次元が全く違っていた。経営観念も私より遥か上で、流石は一流大手商社マンだと感心し、初対面で心からリスペクトした。

熱く語る時間が過ぎ、彼が東京に戻った後、本当かな?木ーボードを量産なんて出来ない、と我に返った。可能性だけは探ってみようと、機械屋さんに相談をした。
紹介して貰ったのは、ピアノを製造する大手機械メーカーのエンジニア。木ーボードを見せた一言目は、「こんなに綺麗な仕上がりは機械では出来ない」というものだった。

機械で出来るのはここまで。それ以上の仕上がりは機械では無理だろう、という判断だった。やはり無理だよな、と落胆した。しかし情熱を持って福井まで来てくれた彼に手ぶらでは行けない。


この出逢いも木―ボードの魅力により始まった事です。大手商社マンの情熱的なアプローチの勢いには驚きもありましたが、そのような人が現れる事を願って木―ボードを作った事が現実となり、彼の期待に応えたいという思いが勝りました。

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