2010年 展示会出展による浪費感
ハコアの商品販売だけで会社を成り立たせる。自分達で作り、自分達で売ると決めたが、先行き不透明感を失くす為にも、売り上げを作ろうと、2009年は国内の展示会に多く出展する事にした。東京ビックサイトで行われる2月、7月、9月、11月と1年に4回の出展を行った。
この時までに様々なジャンルで30以上の商品を作り並べると、沢山のバイヤーや小売店が物珍しそうに手に取り、商談を進め、見込みは高かった。
iPhone4のケースを目玉に出店出来たのは、9月の展示会から。すでにオンラインでの販売実績もあり、自信を持っての出品であったが、バイヤーの反応は鈍かった。それは、まだスマートフォンの市場が熟成されていない事と売り難さがあった。取り扱いは難しいけれど、「個人的に欲しい」という声の方が多かった。
展示会が終わっても注文は「試しに。サンプルで」という程度の注文しか無かった。サンプルを送る作業と、電話でのアポイント取りの営業に追われただけで、なかなか売り上げは上がらない。それが現実だった。国内最大の展示会に出展しても、そんなものかと落胆した。
当然に商品を仕入れ、店頭に並べて頂ける取引先はあったが、Hacoaのカタログから掻い摘んで、他のメーカーの商品と並べている。これでは、世界観が出ないと、Hacoaの紹介のPOPを用意し、「1ブースを下さい。ハコアの世界観を出さないと商品は売れない」とお願いして営業に回った。
その中でも提案通り、世界観を出して貰えたお店では、追加注文が毎日のように来ていたのだが、お願いしても「そんな事は出来ない、生意気言うな」と、いった感じの返答のお店では売れず、お店から商品が消えて行った。
展示会主催者に出店料を支払う。展示ブースの内装業者への支払い。福井から東京へ向かう交通費、宿泊費が必要になる。カタログの印刷代や商品や什器の搬送にもお金が掛かり、人件費も嵩む。1度の出展で150~200万円以上は必要だった。
その後も営業して歩かないと取引に繋がらない。お店の納入の際に配送は断り、持って来てというお店もある。お店のリニューアル展示を夜間に納入業者に手伝わせるお店もあった。どれだけのお金と時間を無駄にしたのかと悩んだ。
これだけの費用と労力を掛けるならば、都内にお店が持てるんじゃないかと思い始めていた頃、ある施設からの出店依頼が来た。
商品は誰に売るかという難題があります。卸業者との取引やカタログ通販で販売して貰うには、バイヤーに見初められないと消費者には届かないものです。商品の特性や販売のし易さ、管理が難しいと納入できない事も多い事です。
地方の補助金事業には、良き逸品の商品開発を行い、販路開拓という事業がありますが、良い物をひとつやふたつ作ったところで、取引口座の開設を直接に貰える事は少ない。当時は卸業者が小売店とメーカーの間にあり、流通のハブになっていた問屋制度でした。
問屋が強い流通形態の中では、取引に至るまでのプロセスに様々な障壁があり、難しい課題も多くありました。