2010年 都内直営店へ

JR東日本が御徒町駅から秋葉原駅の間の高架下をものづくりの商業施設にするという。その施設のメイン店舗として出店依頼があった。

都内に店を持つという希望を持っていたが、場所を聞き、本当かなと疑問でしか無かった。疑問を持ったのは、自身が良く知る場所だったから。12年前、東京の青山周辺を彷徨い、飛び込み営業をしていた頃に良く野宿していた場所だった。

私が歩き倒していた港区周辺のホテルは宿代が高かった事もあり、泊まれなかった。青山周辺を一日中ひた歩き、疲れ切った夜に、表参道駅から地下鉄銀座線に乗り、上野まで行って、カプセルホテルの空き部屋を探す。予約は出来ないお店が多く満室になったら、シャワーやお風呂は使えるが、泊まれない。

夜遅く行き、泊まる部屋が無い時は、シャワーだけ利用し、夜中は途方に暮れた。そんな時、高架下の駐車場に止めてある車やフェンスに寄り掛かり、ここでいいやって感じで野宿する事もあった。

周辺では段ボールを敷き、寝座(ねぐら)にしている人もいて、寝ていると「この段ボールを貸してあげるよ」って差し出してくる人の温情に感謝した事もあった場所だった。寝ているとおまわりさんにも何度か声を掛けられ、職務質問を受け、交番で仮眠した事もあった。自身でも信じられない、驚く程にドラマのような話だが、本当のはなし。

当時は秋葉原駅から御徒町までの高架下の通りは今の様に繋がって無くて、秋葉原駅に行くにはぐるりと迂回しなくては行けなかった。御徒町駅周辺はドヤ街で荒れていたし、駐車場の通りは宝石問屋街で夜は人通りも少ない。
高架下は薄暗く、汚い駐車場だった事を覚えていて、そんなところが商業施設になるのか?人が商品を購入に来るのかと疑問を持った。

話を聞きに現場に訪れると工事が始まっていて、懐かしさは無かった。仕上がりのパース図では、白基調で高架下のイメージを変える斬新な取り組みだった。担当の方は、高架下のイメージを変える、その新しい取り組みに新しいものづくりをしているハコアのお店が必要と、熱を持って説明してくれた。
どの区画でもどうぞ、選んでください。との事だったので、それほど大きく無く、施設のど真ん中を選び、出店契約を結ぶ事になった。

Hacoaダイレクトストア 2k540店Hacoaダイレクトストア 2k540店


初めての都内直営店が、高架下の「ものづくり」をテーマにしたアトリエショップの集合施設。2k540 AKI-OKA ARTISANでした。そのお誘いには、勝手に大きなご縁を感じ、出店を決めました。

アトリエが集まるというスタイルも、私が自分で商品を作り販売を始めた頃のフリーマーケットのような雰囲気も予想して、原点回帰な想いも湧いていた事を思い出します。

直営のお店を持つ事で、作るものも売り方も変わる。私達のものづくり、売り方はきっと、この方が合っていると強く想い、出展への準備を進めて行きました。

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