2013年 一等地への出店での思い

2013年3月21日。東京・丸の内のKITTE(キッテ)に、ハコアの旗艦店としてオープンする前日のレセプションパーティー。

民営化したばかりの日本郵政が手掛ける初の不動産事業という事もあり、全国的に話題となった。この建物も丸の内駅舎が完成した1914年(大正3年)の翌年に東京中央郵便局として建設され、1933年(昭和8年)に今の白タイルの外壁と大きな時計が象徴的な外観になったそうだ。その建物の前面を保存棟として残し、その上には高層JPビルが建つ。

施設の中央部分は大きな吹き抜けとなり、館内通路から全てのお店を見渡せる爽快な空間になっている。4Fには当時の郵便局長室があり、壁一面の大きな窓からは、東京駅丸の内駅舎が見渡せる。その局長室の並びにお店を構え、情緒豊かな景色をバックにお客様をお迎えする事になった。

この地に出店するまでの成長をお世話になっている東京の方々や社員と共に味わいたい。そんな思いから、本社の皆にも東京に来て貰い、社員旅行を計画し、施設の前で、繁盛しますようにと皆でお店を見上げて、手を合わせた。

オープン前日のレセプションパーティーは、福井の幸やお酒を用意し、東京出店からお世話になって来た方々と共に感謝をお伝えした。

この事業を会社内ベンチャーとして立ち上げる際に認めて貰った義理の父、師匠夫婦もレセプション当日に田舎から東京に来て貰った。東京を知らない、ビジネスと縁の遠い師匠に、東京で何をしているかは、詳しく説明しても分からないだろうし、心配させても申し訳ないので、表面だけでしか伝えてこなかった。その師匠に夫婦で東京に来て貰い、弟子である自分自身と会社の成長を見て貰い安心して貰いたい、成果を確認して貰いたいという思いだった。

師匠には目の前の丸の内駅舎の中にある東京ステーションホテルの1室を予約し、レセプションの夜は泊まって貰った。ホテル内には、自分が手掛けた仕事が数多く散らばっている。孫のような若い社員が工場で作っているのを見て、こうしたらどうだと熱心にアドバイスをしていた製品もあり、ホテルのマネージャーも館内を隅々まで案内してくれたというから、相当に思い出のある宿泊になったであろうと思う。

2013年 一等地への出店での思い

弟子である自分自身と会社の成長を肌身で知って貰え、感謝を伝える良い機会を作れた。レセプションパーティーでも師匠が初めてお会いする招待した方々の一人一人に御礼と感謝を伝えて貰い、嬉しそうな笑顔をみていると、我武者羅に東京で走り回り、空回りもしている姿を見せ心配もさせて来たが、ようやく「孝行」出来た自分を褒める事が出来た。

施設がオープンする前年に、丸の内駅舎の復元工事は完成しており、連日のように全国のニュースで話題になった事もあり、施設前は観光客が連日溢れていた。その事もあり、開店当日は、朝から何百メートルにも延びる長蛇の列となった。

テープカットが行われると次々にお客様が館内に流れ込み、1か所しかないエスカレーターは開店から閉館まで、上り下り共に途切れる事無く人が連なっていた。
その風景が吹き抜けから見渡せていた。通路は人で溢れ、身動きが取れない程の人混みで2時間足らずで入場制限が行われた程に多くの来館者に恵まれた。

ハコアのお店も多くのお客様で込み合い、出入りが難しくなった事で、お店の前には規制線のポールが立ち、店内は一方通行となった。押し寄せるお客様数にスタッフだけではコントロール出来なくなり、警備員が付いたほどだった。
お店の前の人の溜まりは館内を見渡す限り、ハコアの前の人溜まりが一番多かったのでは無いかと見て取れた。

2013年 一等地への出店での思い

無名であった事と木という素材で様々な商品を作っていた物珍しさもあったのだと思う。これまで以上に多くのお客様にハコアの商品を知って貰える大きな一歩となった。日本の成長を刻んできた情緒が漂う街、世界中の人々が訪れる日本の玄関口、一等地のビジネス街というステージに立ち、ハコアが全国に拡がる一歩が始まった。


日本の首都にある日本の玄関口とも云える、丸の内駅舎の竣工により、丸の内界隈に観光客が溢れました。大手企業がオフィスを構える丸の内ワーカーのみならず、連日のように観光客がKITTEに立ち寄る事で、賑わいが収まらなかったのを思い出します。

KIITEに出店した他のお店を見渡すと有名なブランドや会社ばかりで、無名とも云えるのはハコアくらいじゃないのかと思い恐縮するばかりでした。しかし、東京進出からの2年間でハコアの販売スタッフ達の接客は磨かれ、そのお陰でこの丸の内出店が実現しました。自慢の接客だけでは無く、本社の職人が心を込めて一品一品を作っている商品にも自信があり、他の有名なブランドのお店と肩を並べられたと過剰な意識も持てました。

一等地から声が掛かり、一等地で勝負していく為には、勝ち続けなければいけない。そのためにプライドを持って足元を固め、自社を磨く為に試行錯誤して来ました。今後はそのような経験を多くの方々にお伝えし、一等地で勝負したい方々のお手伝いが出来ればと考えています。

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