2002年 Hacoaの代名詞となる商品の誕生

2002年に“木ーボード = Hacoa”とも言われる、自社ブランドの代名詞となる商品が誕生。後に商品化し、「世界一美しいキーボード」として、パリのルーブル美術館にも展示された。1か月程の期間展示だったが、世界中の人々がHacoaを知るきっかけとなった。

木製キーボード
初代 木ーボード

Hacoaブランドを立ち上げた1年間は、漆器関連の延長の中でテーブルウェア商品の企画に依存し、自分に自信が持てなかった時期が続いていた。そこに「木でキーボードを作って貰えないか?」と一人のお客さんが訪ねて来たので理由を聞くと、プラスチックに対して過剰な程に敏感で、電車の吊革さえ持てない。パソコンのキーボードも手袋をしないと使えない。「市橋さんだったら作れるんじゃないかな?」この声が「木ーボード」 製作のきっかけになり、Hacoaのスタイルが変わる事になった。

まだインターネットが普及し始めたばかりの時代に、IT業界で有名なサイトを立ち上げた実績のあるプロデューサーが声を掛けてくれた事で、ウェブサイトで新作発表を行うことが出来た。当時は今と比べて全体の情報量が少なかった事もあったのだろうけれど、瞬く間に世界中に話題として拡がった。

価格は完全手作りで手間も掛かった為、ハイスペックのパソコン1台の価格と同等の268,000円と高いのを承知で値付けした。その価格も話題になり、高額であったにも関わらず、数台の注文が入った事に自身でも驚いた。ネット掲示板「2チャンネル」では中傷的なコメントもあり落ち込みもしたが、最終的には「触ってみたい、使ってみたい」との評価に行き着くことが分かり、求める人に届けたいという想いも膨らみ、勇気を出して商品化へと進めて行った。
ただ、その時から2チャンネルは見ない事としたので、後に何を書かれているかは知らない。



その後もスタイルや製作方法を改良し、現在は3代目。販売価格96,000円で受注生産による商品化となりましたが、これまでに多くのユーザーの方々に購入して戴きました。今でも海外に行くと、「木―ボードを作ったのは君か」と驚かれ、美しさと細かな技術への賞賛を受けることがあります。それ程にこの世界中に拡がった木―ボードという商品は、“商品の価値とはどういうことか”を自身に知らしめてくれたのです。さらに当時は新分野であったIT業界の大きさや可能性も感じ、Hacoaはパソコン周辺機器の木製商品を拡大し、伝統にとらわれないスタイルへ変えていく事になります。

木製キーボード

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