2013年 ブランドとしての価値が高まる
丸の内にお店をオープンし、多くのお客様をお迎えするようになった。新しいステージの丸の内は、観光地であり、ビジネスワーカーも多い多様な街であった事で、これまでに無い体験があり、ブランドとしての価値を変えた。
これまでは、ものづくりをコンセプトにした施設に出店しており、ものづくりに興味を持って戴いているお客様にご愛顧戴いて来た。東京駅の隣という観光地であった事で、全国から出張や観光に来る様々なお客様を迎える事になった。
その中には、木に携るプロの方も多く、木に関する情熱や知識をスタッフと共に会話する事が多くなった。そのような方々が、ハコアの商品を見て、木を加工する技術に感心し、感動して戴け、商品を購入して戴けるお得意様が多かった。
木に関するプロと話してるとスタッフの知識が追い付かない。お客様に知識で負けている、伝えきれない事が恥ずかしい。もっと知識を身に付けたいから、本社で研修したいという熱い要望もあがり、販売スタッフのスキルアップのために福井本社で1か月程度の研修が始まった。接客の質を高める事になったのは、丸の内にお店を構えた効果だった。
遠方の方々だけでは無く、近隣のビルで働くオフィスワーカーの方々が、営業の際に相手先へのお土産やお祝い品を探してご来店し、ご愛顧を頂く事も多くなった。会社から帰宅の際にお店に立ち寄り、商品を購入戴ける事も多い中、10万円の木―ボードが、オープンから連日のように何台も売れる事にも驚く。デスク周りをハコアの商品で揃えたいと、大手の商社に勤める高所得の方々の需要が多いのも丸の内という立地の有難さであった。
丸の内に事業所を持つ利点は、商品を販売するだけではなく、信用という面でも大きな効果があった。それまでに何度か大手広告代理店からの企業記念品や販促商品と採用して貰う事も多かったが、丸の内にお店を構えるまでは、商品に刻印されている「Hacoa」のロゴを外して納める事が多かった。
しかし、丸の内にお店を構えてからは、「どうしてHacoaのロゴが無いのか。ロゴが付いてないと価値が無い」と言われるようになり、それからは、Hacoaのロゴ付の商品、ブランド名が採用される理由になり、企業で商品採用の際に行われるコンペティションでも採用される事案が急激に増えた。
それだけでは無く、これまで一部上場企業、大手企業は広告代理店を通した取引が多かったが、直接の契約を締結できるようになった事はブランドとしての価値が高まった事を実感した。
丸の内という一等地に事業所を構える事で大きな信用に繋がり、お店の売上だけでは無く、法人取引での採用が飛躍的に伸びて行きました。Hacoaだから、Hacoaじゃないと駄目なんだと、Hacoa有りきでの取引が増えたのは、本当に驚く事でした。
大手やトップブランドが軒を連ねる丸の内という一等地にお店を出すというのは、こういう事なんだと実感したのを思い出します。お店では、様々なお客様が訪れ、要望が増える中で、お客様の声を本社に届け、商品化に繋げる取り組みを始めた事で、飛躍的に商品の数が増え、売り上げも増えていきました。
リーマンショックと東北大震災の影響を抱えながら丸の内出店の大きな決断と投資を行いましたが、開店から僅か1年でそれらの影響を払拭することが出来ました。このV字回復の裏側には、お客様の声を拾える接客の手法やご要望を商品化する技術が上手く噛み合った事で、期待される価値を高めるブランディングが成功したのだと考えています。