2019年 チョコレート事業をはじめた理由

木製雑貨のハコアがチョコレート屋さんを始めた。なぜ?摩訶不思議?と、多くの皆さんから疑問を投げかけられた。

私にとっては、そんなに不思議な事では無く、前年に宣言した「ハコアビレッジ構想」における事業の一環。

それは、せっかくハコアの本社やお店に遠方から来て戴いたんだから、多くの方々が集える場所にして、ゆっくりとした時間が流れる中でハコアの空気感を楽しんで笑顔になってもらいたいという想いから、何が出来るだろうと考えて来た。

DRYADESチョコレート

以前より、木工は五感で感じる商品は出来ないと考えており、そこに物足りなさを感じていた。五感とは、視覚、聴覚、触覚、臭覚、味覚。味覚以外は木工でも感じられる商品やサービスは作れる。

しかし、味覚だけは木を食べる訳にも行かず、味覚を持った商品は、どうしても実現できない。どうにかして多くの人を美味しさで笑顔にする事は出来ないかと考えた時に、チョコレートを思い立った。

チョコレートの主原料はカカオの木から採れるカカオの実。そのカカオの実で作られるチョコレートの中にナッツやメープルシロップや木の実を加えれば、様々な味を創る事が出来る。形も木型を作り流し込む事で様々な形を創り出せる。

デザインもブランディングも出来るハコアが木の実を活かしたチョコレートを作る事は自然の道理と信じて止まなかった。

世界中を駆け巡るプロデュサーと会食中にそんな想いを語り、誰か優秀なスイーツのシェフを知らないかと相談した。彼は直ぐに動いてくれ、一流のフレンチ料理のトップシェフを紹介してくれた。木工所の私達は厨房も持ったことが無いし、道具も分からない。原料やレシピさえも分からないし、何よりも業界を知らない。紹介して貰ったトップシェフと顧問契約を交わし、事業の立ち上げを手伝って戴いた。

顧問と事業開始の準備を進める中で、一人のシェフがフランスから7年振りに帰国したという情報が入った。早速そのシェフに逢い、ハコアビレッジ構想を情熱を持って語り、ハコアの夢を実現する為に来てくれないかと誠意をもってお誘いした。

彼は、スイーツの本場フランスの三ツ星レストランでスイーツのシェフを担当し、有名なピエールエルメでもシェフを経験して来た敏腕シェフだった。まだ33歳の素直で誠実な青年で、私の想いを素直に受け取ってくれた事から本格的に事業立ち上げへと向かった。

厨房は工事をしており、私の自宅のキッチンでレシピづくりを始めた。彼がチョコレートやスイーツを作り出し、味見をしてみると本当に驚いた。完全な道具や設備が無い中で試作されたスイーツは、これまでに食べた事が無い程に美味しい。一言で云えば、「大人チョコ」。

それは、口溶けがなめらかで、甘すぎずさっぱりもしている。世界中を旅し、各国でチョコを食べて来たが、こんなに美味しいチョコは初めてだと唸った。彼は本物の腕を持った職人なんだと本当に感動し、めぐり逢いに感謝した。

DRYADES(ドリュアデス)
https://dryades.jp/

DRYADESチョコレート森のボンボン
ドリュアデスチョコレート 春日店
 


2019年1月末にチョコレートブランド「DRYADES」を東京ドームの直ぐ近くの春日にオープンしました。ハコア初の路面店になり、オープン前から多くのお客様が列をつくって頂き、華々しくオープンしました。食品を取り扱った事の無い私達が未知の業界に飛び込んだ訳ですが、雑貨と違い美味しさを求める分母は計り知れず多い事を知りました。

ブランドを立ち上げてから僅か2年。有名店と肩を並べて試行錯誤して来ましたが、最近では多くの商業施設からも出店の依頼を請け、メディア等にも取り上げて貰える事が多くなりました。私がハコアを東京に持ってきた時と比べれば、とても速いスピードで成長しているブランドだと実感します。

それには、味が本物である事が先ず前提に有りますが、ハコアが行うスイーツづくりの背景として、“木の恵み”という事業コンセプトがしっかり伝わっているから。コンセプトがお客様にしっかりと伝わり、共感戴いているからこそ、その美味しさがより引き立ち、さらに今後の展開にも期待を戴けているのだと思います。

ハコアが目指す楽しさに美味しさを加え、より多くの方々を幸せの笑顔にしたいという想いから生まれたハコアのスイーツなのです。

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