2021年 ブレない思い、それはハコアの哲学

ハコアと名乗ってからの20年は、あっという間の時間だった。この激動のハコアの軌跡は、自分でも“ハコア劇場”と云えるほど中味が濃く凝縮されている。その劇場には多くの涙や笑いが有り、とても苦しい出来事ととても嬉しい喜びも数え切れない程にあり、その中で多くの登場者がハコアを救ってきてくれた。

ハコアがハコアでいられたのは、私の中で「ハコアの哲学」があったから。その哲学がある限りは、どんなに苦しくてもブレない。誰に何を云われても折れない頑固なまでの私の哲学であり、上手く事が進まない時、上手く行かずに右往左往している時に自分自身を救ってくれたのは、ハコアの哲学だった。

ハコアの哲学は、usability(ユーザビリテイ)という考え方がベースになっています。私がデザインを習い始めた1996年頃に良く云われていて、商品の有用性を示す「ユーザーの為の定義」というシンプルな考え方。

Usabilityという言葉は20年以上前の考えで、それから数年前までは聞く事も無く、知らない人も多かった。もう使われなくなったのかと思ったが、近年の学生はこの言葉を知っている。時代が回って来たのではなく、その考え方が必要な時代になって来た事で大学でも教えているのだろうと思う。

ブレない思い、それはハコアの哲学

◆usability(ユーザビリテイ)
特定の利用状況において、特定のユーザーにある商品が指定された目標を達成する為に有効さを効率さ持ったユーザーの満足度の度合い。

使い勝手、使いやすさ、利用性、使用性、可用性、満足度といった、利用の成果を構成する

この定義は、私達がお客様に商品を選んで戴き、買って貰い、リピートして貰う為には絶対に必要だと考えている。サービスという商品についても同じ事。会社という組織の中でも同じ事。ユーザビリティをベースに組織づくりや人づくりを行う。誰の為に行い、誰がしあわせになるのかを明確にする事で形作られていく。自分の為にという考え方は存在しない。

商品は企業や会社の為にある訳では無い。お客様が求める事をカタチにし、お客様の為に作るべきである。昔からこれは売れているから、今売れているからでは無く、お客様が欲しいと思っているから作るといった考え方に変えなくてはいけない。

上場企業の商品づくりは、私達のような中小零細企業とは違う。株主に認めて貰い、株を上げる為の商品づくり。ユーザーでは無く、株主に向き合った商品づくりの事の方が多い。だから“多機能で便利である”とか、“最新の技術を用いている”というように商品を謳うのは、商品が売れる事よりも株を上げる事が優先順位として上とされているからである。

そして商品を販売する前には多額な開発資金が手に入るため、更に機能性や品質を高める事が出来る。私達ユーザーがそんなに多機能は要らない、シンプルで分かり易く、安い方がいいからと言っても、それは退化のように考えられ、まるで市場性が無いかのように思われてしまう。

ブレない思い、それはハコアの哲学

私達は上場企業のように多額な資金を投入した商品開発やサービスは出来ない。その代わりに、お客様と真摯に向き合い、お客様が求める商品をお客様の為に何が必要かを謙虚に考える姿勢を大切にしている。それが付加価値という事であり、その付加価値にお客様はお金を支払うものだと考えている。この姿勢は時代が変わってもブレず色褪せる事の無いものだと信じている。


自分自身の哲学を作る事は、苦しい時や迷いが生まれた時に大きな助け舟になります。哲学は考えて、教えられ、与えられて出来上がるものでは無く、自分自身のブレない目的を設定し、進めて行く中で確信を得て出来上がるものです。

社員が入社した際の研修では、まずはこのハコアの哲学を解説し、理解して貰う事を行っています。それは、仕事に向き合う姿勢を作る事でもあり、自分がなぜ仕事をするのかと迷った時に初心に戻る為の思考的訓練です。軸がありブレない自分がある事で救われる事も多い。努力無しでは、結果を残す事は出来ないし、偶然に結果が残る事も無い。

どんなに悩み苦しくても、誰も助けてくれなければ、自分を信じる事が唯一の救いになる。分かっているか、分かっていないかの違いは大きな違いです。それぞれに自分自身の哲学があり、その哲学が会社の哲学と同調すれば、大きな力に変わります。そのような哲学の作り方を教え、人として成長して来たスタッフ達が多い事でハコアは成長してきました。ハコアの哲学はその成長と今後の未来の根幹となるものです。

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