木製デザイン雑貨Hacoa もうひとつの手

Hacoaのスタッフたちには、自分の手に加え、もうひとつの手がある。それは道具たち。意のままに動かすことで、精巧な技術をしっかりと伝える。

取材/株式会社真空ラボ

1. 丸鋸(まるのこ)

木と会話するための翻訳機

木製雑貨を作る道具、丸鋸(まるのこ)

昇降盤という機械にて1分間に3千〜5千の高回転で、木材を切る。

大きさ、厚み、歯の数、角度など、様々な条件に合わせて丸鋸を選択する。

細かく使い分け、切れ味を限界まで求める理由は、もちろん綺麗に仕上げることだけれど、実はもうひとつの理由が隠されている。

「木と話すため」 。

木材を切る時に大事なのは『木材を指先で感じること』。

1枚の板でも場所によっては、無理が掛かって危ないところもある。

それらを、振動や音で判断し、危険を予知する。

安全に、良いものづくりを行うために、木と会話するのである。

木製雑貨を作る道具、丸鋸(まるのこ)

2. カッターの刃

削るという人生を共に歩む

木製雑貨を作る道具、カッターの刃

カッターの刃は昇降盤という機械に取り付けて高回転で使用する。

鋸と違い、「切る」のではなく「削る」役目を持つ道具だ。

R形状(円弧)や傾斜面、溝を掘ったりする時など。

削る目的に合わせて様々な形状の刃がそろう。

それぞれに最適なカッターの刃を用いることで、安全に加工を行え、高精度の成形が仕上げられる。

大きな刃を使うと、サイレンのような大きな音が近くの山に木霊する。

カッターの刃は、鉄の塊から削り出されたオーダー品である。

何度も何度も使い込み、研磨を繰り返す。

一生モノの道具として付き合う相棒といえる。

木製雑貨を作る道具、カッターの刃

3. レーザー加工機

あの日、胸を焦がした光は

木製雑貨を作る道具、レーザー加工機

名前の通り、レーザー光線を放つ加工機である。

幼い頃にレーザー光線を知ったのは、ガンダムだった。

まさか、あれから30年後に、その光を使って仕事をするとは…。

目に見えない程の光の線で、ビビッと木を焦がす。

ビーッと、薄い木を様々な形に切ることも出来る。

原理は、小学生の時に習った虫眼鏡で紙を焦がす「理科の実験」。

発信機から出た光をレンズに通して木へ落とす。

あの頃、ドキドキやワクワクをくれた光は今、名入れやイラストによって世界に一つだけの品を作り、誰かの胸にあたたかな火を灯しているように思う。

木製雑貨を作る道具、レーザー加工機

4. 鉋(かんな)

0.01ミリの世界が生むアート

木製雑貨を作る道具、鉋(かんな)

引き鉋は木の文化・日本が生んだ優秀な道具だ。

薄皮一枚剥くだけで、荒れた木肌を生き生きとした表情に変える。

熟練の経験は、木肌を読み、木肌に合わせ刃を調整する。

髪の毛1本程度の厚みの中で左右する刃の傾きを加減する。

0.01ミリという感覚の世界。

刃を木槌でコンコンと軽やかに叩く瞬間には、緊張感を覚える。

木板の上を、軽やかな音と木の香りを立てて滑る鉋からは、薄く透き通るような木皮が泳ぎ立つ。

放たれた木の皮は「かんなくず」と呼ばれるが、アートのようだ。日本の先人が生んだ道具に、誇りと自信を抱く職人がいる。

木製雑貨を作る道具、鉋(かんな)

5. 罫引き(けびき)

職人の目安

木製雑貨を作る道具、罫引き(けびき)

“測る”道具ではない。

“記す”道具である。

初めて手にした時は、どのように使うのか、皆目わからなかった覚えがある。

ただ、使い込まれたその身体からは、風格を感じずにはいられなかった。

普通、目印を付けるには、定規で図って目盛を読んで印を付ける。

この作業がひとつの挙動で行えてしまう。

押し加減で線引きが行え、目安を付けるのに重宝する。

アナログだが精度が良い。

まるで熟年の大工。

大工仕事には欠かせない道具だ。

木製雑貨を作る道具、罫引き(けびき)

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